キャトル(ルノー4)とは?
>>キャトルとは?・キャトルのトラブルとチューニング、まとめ
キャトルの歴史
ちょっと気になる古い車としてさりげなく存在感の光るキャトルですが、見たことがない人、乗ったことがない人には、いったいどんな車に見えるのでしょうか?
フランスルノー(RENAULT)社が1961年に発表した大衆車として世界で初めて(確か・・・?)水冷エンジンを搭載したのがルノー4です。4のフランス語読みで日本ではキャトル(カトルとも呼ばれます)と呼ばれて親しまれています。その時代というとミニやフィアット500、ビートル、シトロエン2CVなどが大衆車として存在していますね。
その前にあったルノー4CV(リアエンジン)のレイアウトをそのままひっくり返してFFにしたような構造で、縦置き4気筒エンジンの前にギアボックスがあるという不思議なレイアウトをしています。そのギアボックスからニョキッと棒が突き出てエンジンルームを縦断しそのままシフトレバーになっているのも見た目上のポイントです。
当時のキャトルのシートはハンモックシートでエンジンも小さく、外観においてはフロントグリルとヘッドライトが別々になっていて現在見かけるキャトルとは少し異なります。しかし現在見かけるキャトルも設計上大きな違いはなく、排気量が1100ccになったことやグリルがヘッドライトと一体化したこと、ダッシュボードやステアリングが変更されたことくらいです。1970年代〜80年代にかけて角が丸いグリルと一体化し、そのうちグリルの角が角張ってほぼ今の形になりました。
つまり中身がそんなに近代化しているわけではなく基本的には古い車のままです。
長い歴史の中で様々な波状モデルも登場しました。雑誌ELLEとのコラボレーションによるパリジェンヌや屋根をぶった切っただけのような大胆なプレネールなど。サファリなどの特別仕様車も。また発表当時さらにエンジンが小さくてサイドの3つの窓のうち一番後ろが埋めてあるルノー3(トロア)というモデルも存在しました(超貴重)。世界にはまだ見ぬ不思議なキャトルが数多く存在するみたいです。
主に商業者として利用されていたフルゴネット(F4)という後ろが荷台になっているモデルもあります。これは時期にルノーエクスプレスとして引き継がれ、現在ではカングーがそれにあたりますね。
こうして近代的なモデルがどんどん発表される中でも大衆車のボトムエンドとして1991年まで作り続けられ、1992年にその現役を引退したのです。
本格的に日本に導入された時代はまだ輸入車というだけで随分と高価な扱いを受けていましたので、ディーラーこそコロコロ変わりましたが、300万円くらいしていたみたいです。グレードが最上位のGTLと普及モデルのTLがありますが、日本に正規輸入されたほとんどはGTLです。ちなみにうちのアンヌくんはサバーヌというモロッコ製のTLで最終限定車と(日本で勝手に限定にされただけという話しもありますが)、新車価格は180万円でした。もともと砂漠使用のためGTLと比べてオイルパンガードが大きいのとエアクリーナーが2個連結してついているのが大きな特徴です。
キャトルってどんな車?
さぁ皆さんはどんなイメージをしますか?
遅そう・・・・。
壊れそう・・・。
不便そう・・・。
お金かかりそう・・・。
うーん、確かに間違いではないかもしれない。
しかし正解でもありません。
まずは走行インプレッションから。
そんな車が30年も作り続けられるワケないじゃないですか!実はキャトルってば結構使えるんです。
まず走りについてですが、これはまず問題ありません。コンピューター制御などまったく無縁のフルメカ車ですから、キャブ車特有のダイレクトな運転感覚でわずか34馬力しかないとはとても思えないような走りをしてくれます。最近の軽自動車と変わらないか、それ以上のダッシュも見せてくれるんですよ!なんてったって車重が700キロちょっとしかないですから。
4人フル乗車でも問題ないです。まぁ坂道は少しつらいですが、他の車に迷惑をかけることはまずないでしょう。信号ダッシュではまず負けません。ただかっ飛ばすような性格の車ではないですけどね。
高速道路も気になるところでしょうが、これも問題ないです。100キロ+αで走行し続けても全然へっちゃらですし、安定性は抜群です。これはハッキリ言って現代の国産コンパクトカーには負けません。ホントです。ただし音はうるさいです。
乗り心地については表現が難しいですが、ボディー剛性など考えてない車ですから、全体で衝撃を受ける感じです。ですから段差を乗り越えるとバタンバタン音がします。・・・が、音が激しくても実際に身体に与える衝撃は非常に少ないです。これにはシートの良さもあると思います。現代の軽自動車のシートよりも見た目はプアですが、そこはまったく次元が違います。
椅子文化の歴史の違いでしょうかね。どんなに長距離を走っても腰が痛くなることはないです。ふわふわしてますが、しっかりと腰にサポートがあたります。フランス車がまさにフランス車である部分がこのシートと乗り心地の良さではないでしょうか?
また1人、2人よりも後席に人が乗っている方がリアが重さで落ち着くのでいっそう乗り心地がしっとりします。
ロールはかなりあります。しかし非常に路面への接地感があるので峠でも意外に安心してとばせます。
タイヤは純正サイズが135の80なので選べる種類が少なくなっています。ほとんどの人はやっぱりミシュランを履いていますね。うちはこだわらないので安いタイヤをその時の都合に合わせて履いています(笑)。
それではインテリアインプレッションに行ってみましょう。
室内はハッキリ言って狭い方です。が、頑張れば荷物もかなり積めます。家族5人で乗っている強者もいらっしゃいます。
当然左ハンドルの4速マニュアルしかありません。シフト操作も独特でダッシュボードから真っずぐに生えて手前でL字に曲がっているシフトレバーを押したり引いたりして変速します。シフトチェンジはストロークは割とあるのですが、結構クイックです。動きは普通のH型と一緒です。ウインカーなどすべての操作はほとんど手を動かさずに出来ます。古くても人間工学的には非常に優れています。
ウォッシャー液は足踏みポンプ式です。クラッチの隣の方にポチッとボタンが付いています。ワイパーは電動です(笑)が、間欠ワイパーではありません。外付けのキットで間欠にできますけど。ボタン類のアイコンもかわいいし、室内灯もすっごくおしゃれです。空調は基本的にはヒーターのみですが、外付けのクーラー付きもあります。効き目は個体差がかなりありますが、キチンと調節すれば前席はよく冷えます。
キャトルはウィンドウが横にスライドするタイプなので窓を開けてもあまり運転手には風が当たりません。クーラーなしでは夏場ちょっと具合が悪くなるかもしれません。暑い!ですが、いざとなればダッシュボードに小さいながらベンチレーターが付いていますので、そこを開ければ顔に風が当たります。前車がトラックだと臭いですけどね。
カーオーディオはもともとありませんが、ほとんどの人はどうにかしてつけています。GTLにはコンソール(1DIN)があるので、キレイに装着できますが、結構位置が低いところにきます。TLにはないので、うちは助手席側のダッシュボードに無理矢理つり下げています。使い勝手は上々。ただしスピーカーはボックスタイプ以外はボード等自作しないとつけられません。うるさい車なのであまりオーディオにこだわっている人もいませんけどね。
シートベルトが前席は巻き取り式(今の車と一緒)ですが、後席は調整式なのでチャイルドシートをつけるときは長さの調整が結構めんどくさいですが、一度決まればゆるむまでは調整しなくても大丈夫です。大概のチャイルドシートは装着できると思います。うちはコンビのプリムロングを使っていました。横には若干動きますが、問題ないです。子供がちゃんと座ってくれない方が問題です・・・。
インプレッションのまとめ
走行上特に過不足もないし、故障も少ないし、ちゃんと快適に(乗り心地に関して)人を運べるし、キャトルに慣れてしまうと「別にこれで十分じゃん」という感覚です。当然現代車のような豪華装備もありませんし、エアコンもないので夏はクーラーなしの車体ではつらいかもしれませんが、冬はヒーターがすごく効くので寒くないし、運転自体がすごく楽しくて、かつ外観のかわいさが加わって、ハッキリ言ってすごくいいっ(親ばか状態ですね)!
まぁエンジン始動してすぐ走り始めるとすぐエンストしたり、雨の日は窓がジャンジャン曇ったり、のろのろ運転しているわけでもないのに後ろの車にあおられたり(特に中流セダン辺りに乗ってる50代くらいの品のないおじちゃんから)、自動車税が割り増しになったり、ヘッドライトが暗かったり、時々だだをこねたり、このご時世に大衆車でハイオク使用だったり、部品代が異常に高かったり、うーん他になにかあったかなぁ・・・。
あまり欠点が思いつきません。こんなもんです。なんといっても僕みたいなメカ音痴でも養っていけるのですから、ちょっと古い車入門にも最適ですね。注目度は満点です。見た目だけなら女性受けもとてもいいです。夏のデートに使うと嫌われるかもしれませんけど。あと子供受けはいいです。よく手を振られます。しかし慣れてくると特別な車に乗っているなんて感じは全くなくなります。だって全てが普通なんですから。でもそれがキャトルの一番のよいところかもしれません。
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